とんび(重松清)

広島の一都市で生きる父と息子をつづった長編。運送会社で働くヤスさんがようやく手に入れた優しい妻と息子との「家庭」。しかしそれも一瞬の事故により妻を失う。ヤスさんと息子(アキラ)は幼なじみの住職や小料理屋のおかみなど、ヤスさんの人柄に好意を寄せる親しい人々にささえられ、やがてアキラが新しい家庭を築くまでを描く。現代小説でありながら、江戸の長屋に住む人情あふれる人々を彷彿とさせる味わい。広島弁がちょっと懐かしい。

とんび

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