猫の水につかるカエル(川崎徹)

著者はもとCMディレクター。興味深いタイトル。第一話「傘と長靴」。主人公は公園の猫の餌やりおじさんとして、野良猫たちの生死を見送る。ひとくせあるホームレスのえのもとさんとも交流がある。勤勉な勤め人だった父。雨の日に傘と長靴をもって駅に迎えに行く思い出が、父母の死の様子とともに静かに懐古される。
第二話「猫の水につかるカエル」とは、外猫の水飲みように庭においた弁当箱にカエルの親子が入ってくつろぐ様子だった。父母の記憶を喚起するソファーやコートを見て、健康診断でガンが疑われる主人公は、自分の死について考える。飼い猫がしきりに一緒に心中しましょうと誘う。第一話でも公園のお婆さん猫がしゃべる。我が家の猫もよくしゃべる。今日も帰宅したら玄関に待ち構えていて、色々小言を言われたような気がする。

猫の水につかるカエル

猫の水につかるカエル