独楽吟(橘曙覧)

橘曙覧はクリントン大統領が天皇両陛下訪米の折、歓迎のスピーチの中で「たのしみは朝おきいでて昨日まで無かりし花の咲ける見るとき」という歌を引用して、更なる日米関係の改善をのぞむとしたことで知られる。橘曙覧は江戸時代後期の歌人。越前の国。28歳で隠棲して、以後こわれても仕官することはなかった。清貧風雅の人。
独楽吟は詩集の「春明草」に含まれる52首のこと。すべて「たのしみは」で始まり「〜とき」で終わる。日常生活の中のふとした喜びを平易なことばで語る。例えば「たのしみは珍しき書人に借り始めひとひら(第1ページ)ひろげたるとき」「たのしみは妻子むつまじくうちつどい頭ならべて物を食うとき」など。

独楽吟

独楽吟

今日は詩吟の会の吟行会で石川丈山の生誕地、安城市の「丈山苑」を訪れた。生憎の雨だったが、さしずめ「たのしみは意にかなふ山水のあたりしずかに見て歩くとき」「たのしみは心をおかぬ友どちと笑い語りて原をよるとき」か。私なら「たのしみは猫の待つ家に帰り来てやわらかき背に顔埋めるとき」かな?